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従業員が辞めてしまう理由TOP5とその対策について
「店長、ちょっとお時間よろしいでしょうか…」。
小規模事業者の死活問題である従業員の退職リスクを考えよう
<リスクポイント>
- 従業員の退職理由TOP5は、①仕事内容、②人間関係、③条件、④賃金、⑤ノルマや責任
- 小規模事業者でもできる対策、①やりがいを得るためのスキルとマインドを与える、②2ストライク1ボール(2つ褒めて、1つ叱る)、③仕事の見える化、で退職リスクを回避
■はじめに
店舗を運営されているオーナーや店長にとって、従業員の離職というのは最重要課題の一つなのではないでしょうか。
「店長、ちょっとお時間よろしいでしょうか・・・?」と声をかけられたときのドキッとする感覚は経験した人でないとわかりません。
辞められてしまった分のシフトを埋めることができずに売上の減少にもつながりますし、
人手不足の昨今ではなかなか従業員を入れることもできませんし、採用コストだってばかになりません。
では、「従業員が辞めてしまう理由」は何なのかを考えていきましょう。
■初職の離職理由TOP5
平成29年度に内閣府が行った「子ども・若者の意識に関する調査」によれば、初職の離職理由のTOP5は下記のとおりです。
①仕事が自分に合わなかったため(43.4%)
②人間関係がよくなかったため(23.7%)
③労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため(23.4%)
④賃金がよくなかったため(20.7%)
⑤ノルマや責任が重すぎたため(19.1%)
まず注意したいのは③④の労働条件に関する部分です。
労働条件の改善は長期的視点では重要な項目ですが小規模事業者にとっては限界があります。
また、「時給を100円上げたから」や「1時間早く帰れるようにしたから」といって離職がなくなるわけではありません。
時給が上がったときは嬉しいかもしれませんが、時給が100円上がったとしても生活の質は大きく変わりません。
2,3か月後にはまた「時給が低い」と不満をもらしていることでしょう。
労働条件は「不満の理由」にはなっても「満足の理由」にはなりにくい部分なのです。
相場と比較して平均程度であれば気にする必要はないでしょう。
それに対して①②⑤は小規模事業者であったとしても工夫できる部分です。
■小規模事業者でもできる対策
「仕事が自分に合わなかった」と感じる理由は何でしょう。
多くの場合は「想像と違っていた」ということです。
例えば飲食店の場合、「お客様とワイワイしながら楽しく接客ができる」と思っていたのに
実際は「お客様からクレームばかりで面白くない」と感じてしまうようなケースです。
この場合、その仕事の本来の「喜び」や「やりがい」を得られるだけのマインドやスキルを身につけられていないことが原因です。
どんな仕事にも「喜び」や「やりがい」はあるものです。
それを得るためにどのような「マインド(考え方・心構え)」と「スキル(知識・技術)」が必要なのかを洗い出し、教育していく必要があります。
次に「人間関係がよくなかった」についてです。
もちろん人間なので合う人も合わない人もいて当然です。
その中でいかに上手く人間関係を築いていくかが社会人には求められます。
基本的なことですが私の経験上では「笑顔で挨拶をする」「相手の顔を見て話を聴く」「ちゃんと返事をする」「良いことは褒める」「ダメなことは叱る」の5つができているかどうかが重要です。
特に「褒める」については苦手としているオーナー・店長が多いようです。
なぜならオーナーや店長の視座からは従業員の「できていない部分」の方が圧倒的に目に付きやすいからです。
ただ、叱られてばかりでは嫌になってしまうのも人間です。
コツとしては「2ストライク1ボール」のコミュニケーションです。
つまり「2つ褒めて、1つ叱る」くらいのバランスで関わってあげると従業員も受け入れやすくなってきます。
最後に「ノルマや責任が重すぎた」についてです。
小規模事業者ほど一人当たりの業務の幅が広く、負担がかかりやすいのも事実です。
この場合、業務内容を全て書き出すことをおススメしています。
そのうえで、誰に、何を、どこまで任せるのかを整理してみるとよいでしょう。
一人に負担が集中してしまっていたり、その人がやらなくてもいいことまで背負ってしまっているケースがあるはずです。
ここまで「従業員が辞めてしまう理由」についてお伝えしてきましたが、労働条件は平均的でも
「仕事の喜びややりがいがあり」「人間関係がよく」「適切に仕事の役割分担ができている」店舗を作ることができれば
離職率はグンと下がるはずです。自分たちにできるところから、改善してみてはいかがでしょうか。
宇城 孝佑
株式会社ベイル 代表取締役
中小企業の人材マネジメントに関するコンサルティング・研修において、
業界経験14 年、延べ10,000 人以上を対象に研修を実施。1,500 店舗加盟の
大手FC(おそうじ本舗)にて加盟店向け研修を担当。
現在は100 店舗以上の整骨院に対するコンサルティング、研修を担当。