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融資を受けられない?!融資を断られる理由TOP5を押さえて、資金ショートリスクを回避

<リスクポイント>

●資金ショート=倒産。資金ショートリスクは経営上の最重要課題!事業者は金融機関とビジネスパートナーとして良好な関係が大切。

●金融機関との信頼関係に必要なTOP5は、①過去の実績②現在の状況③将来の計画④借入理由⑤決算書。小規模事業者の場合は社長自身の信用情報も重要。

 

 新たに店舗を設けたり仕入れの支払いが先行する事業者は、金融機関からの融資が必須といえます。事業の維持・発展のためには金融機関とはビジネスパートナーとして良好な関係を築きたいものです。事業者が金融機関から融資を受ける場合に最も重要なことは、『信頼関係』です。

 金融機関は、常に信頼できる融資先を探しています。一方、事業者が何度融資の申し込みを試みても、信頼されなければ融資を受けることができません。では、信頼されない理由には、具体的にどのようなことがあるのでしょうか?

事業者が融資を断られる理由TOP5

①:過去の支払い実績が信頼できない

 過去に信用情報の毀損、税金等の滞納、融資返済の滞り実績がある場合、信頼されません。信用情報とは、金融機関やクレジットカードなどの会社が個人情報をデータとして集めたものです。その中には、借入やクレジットカードの内容や限度額、自己破産等の履歴、支払いの遅延や現在の借入状況等が含まれます。特に小規模な事業者の場合は、社長個人への信頼が重要になりますので、金融機関は社長の信用情報を照会し、問題がないか確認します。

②:現在の資金繰りが信頼できない

 手元の資金が全く無くなってしまった事業者は信頼されません。なぜ、資金が無くなってしまったのでしょうか?資金繰りの管理ができていなかったからです。いつ幾らの入金があり、いつ幾らの出金があるか計画を立てていれば、資金不足は事前に分かります。事前に事態を把握して、対策を立てて行動することが信頼につながります。

③:将来の事業計画が信頼できない

 融資の申請の際に、将来の事業計画について確認されます。例えば、売上計画。将来のことは分からないよ、というスタンスではとても信頼されません。これまでの売上推移(月次推移がお勧めです)、市場・同業他社動向、自社が持つ特徴・強みを分析して策定した売上計画は、たとえバラ色の計画でなくとも信頼され融資を受けるに値する事業であると評価される可能性が高まります。

④:借入理由が信頼できない

 経営不振に悩む事業者の中には、融資を断られ、困った挙句に新設法人を立ち上げて新規融資を受けてその資金を使おうと考える方がいるようです。新設法人ならば、滞納もなく、赤字が問題視されることもないので都合がいいと思われるのでしょう。この場合、大抵は代表者の経歴調査の中で、別会社への流用が懸念され応答に窮することになります。仮に創業融資に成功したとしても、借入理由を偽ったことは次の決算書で明らかになりますので、新設法人も既存の会社も銀行からの信頼が無くなり、それ以降の融資は困難になります。

⑤:決算書が信頼できない

 赤字では次の融資に響くのではないか等の理由で、利益を“かさ増し”する、いわゆる粉飾決算を行ってしまう事業者もいます。売り上げの水増し、仕入れや経費の簿外処理、在庫調整、資産振替等、様々な粉飾手法がありますが、決算書等の推移分析や比率分析、事業者へのヒアリング等で綻(ほころ)びが出るものです。粉飾決算を行う会社は、当然信頼を失い、それ以降の融資は困難になります。

水谷 翠

公認会計士・税理士・行政書士
銀座スフィア税理士法人 代表社員

「親切な対応、丁寧な仕事、役に立つアドバイスで、中小企業の夢を応援します!」を掲げ、税務相談に留まらない会計事務所を目指す。飲食店、小売店等のクライアント多数、出店計画やコロナ禍の立て直しプランの相談などにも対応。著書『税理士のための“中小企業の補助金”申請支援マニュアル(初版2017.4、改訂版2019.3、第3版2021.10)』。