業界リスクニュース

どうなる!?どうする!?法人利用のお得意様がいる飲食店、小売店はインボイス登録しておかないとリスクあり!?

リスクポイント

●2023 年10 月からインボイス制度がスタート

●飲食店、小売店は2023 年9 月末までにインボイス登録申請を行い、「簡易インボイス」発行の準備を

●現在免税事業者の飲食店、小売店の方々は、インボイス登録は必須ではないが、法人のお客さま(納入先やお得意様)がいる場合は現行の取引条件の継続は困難になるリスクあり

そもそもインボイス制度って何?

いよいよ今年10月から、インボイス制度がスタートします。

インボイス制度はすべての事業者にかかわる重要な制度ですが、日常の取引から消費税計算のルールまで多岐にわたる制度であるため、難しさを感じていらっしゃる方も多いことと思います。

インボイス制度とは、荒っぽい例えで言えば、「指定のごみ袋でないと、回収しないよ!」というイメージです。指定のごみ袋というのは、税務署が認める「適格請求書(以下、「インボイス」といいます)」のことで、消費税確定申告の計算をするときにインボイスがない経費については控除できなくなるのです。

インボイスとは、現行の請求書に「登録番号」、「適用税率」、「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

 

“課税事業者”であるお店への影響とは・・・

課税事業者は、毎年、消費税の確定申告と納税をします。今年10月以降、仕入や経費の支払いを消費税の経費として計上するためには、インボイスを受領し保管する必要があります。

逆に売上の場面では、取引先はお店の発行する請求書を使って経費計上を行いますので、今年10月以降はインボイスの発行を求められるようになります。

ただし、飲食店、小売店等の不特定多数の者に対して販売を行う事業者の場合には、「簡易インボイス」の発行が認められます。これは、通常のインボイスには必要とされている「相手先の名称」「適用税率」を省略したものです。

インボイス又は簡易インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録された者のみです。課税事業者だからといって自動的に登録されるわけではなく、今年10月の制度開始からインボイスを発行するためには、2023年9月末までに税務署に申請を行う必要があります

“免税事業者”であるお店への影響とは・・・

免税事業者は消費税の確定申告を行いません。では、インボイス制度と無縁かというと、実は影響がある可能性があります。

これまで本体価格に消費税額を加算して請求していたところ、課税事業者である取引相手からは、インボイスを発行してもらえない(消費税の経費にならない)取引であることから消費税分の値下げの要求があるかもしれません。

消費者はどう動くか?

消費者は消費税の申告と納付を行いませんので、インボイス制度によって影響は受けません。

しかし、インボイス事業者が公表されることにより、ある事業者が課税事業者であるか免税事業者であるかが周知のこととなりますので、消費税分を上乗せして請求する免税事業者に対する風当たりは強くなるかもしれません・・・!

水谷 翠

公認会計士・税理士・行政書士
銀座スフィア税理士法人 代表社員
「親切な対応、丁寧な仕事、役に立つアドバイスで、中小企業の夢を応援します!」を掲げ、
税務相談に留まらない会計事務所を目指す。飲食店、小売店等のクライアント多数、出店計画
やコロナ禍の立て直しプランの相談などにも対応。著書『税理士のための“中小企業の補助金”
申請支援マニュアル(初版2017.4、改訂版2019.3、第3版2021.10)』。