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<アンケート調査:サブスクリプションサービスに関する実態>

サブスクを知っている人は9割近く、利用したことのある人は半数。利用期間や月額利用料金など、各ジャンルの利用者像が明らかに。

 
 
 顧客満足度(CS)調査や消費者動向に関するリサーチ・コンサルティング会社である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、2023年8月に、サブスクリプションサービスに関するアンケート調査を実施しました。
 今回は第1弾として、アンケート結果から、サブスクリプションサービスの利用実態について、ジャンルごとの特徴も踏まえながら、データをご紹介します。

 サブスクリプションサービスの認知について

86%が「サブスクリプションサービス」を知っている、若年層ほど高い傾向。

昨今、インターネットやスマートフォンの普及、消費者の意識の変化に伴い、サブスクリプションサービスがますます浸透してきていると言われています。サービスの対象ジャンルも多岐にわたり、より多くの人がサービスを享受できる環境になっている中、実際のサービスの認知や利用状況とは一体どのようなものでしょうか。
本調査では、様々な媒体などで見聞きされている主なサブスクリプションサービスについて、12のジャンルをピックアップして知っているかを尋ねました。その結果、サブスクリプションサービスを1つ以上知っていた人は86%と高い認知率になりました。世代別にみると、若い世代ほど認知率が高く、若年層では9割を超えていました。

 

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

「動画」、「音楽」、「電子書籍/コミック」は6割を超える認知率。世代や男女により認知しているジャンルに違い。

サブスクリプションサービスのジャンルごとに認知状況をみると、「動画配信」が73%、「音楽配信」が67%、「電子書籍/コミック」が62%と、サブスクリプションサービスの代表格とも言えるデジタルコンテンツ系の認知度が高く、トップ3を占めました。次いで、「自動車」(45%)、「スポーツ/エクササイズ」(43%)、「ファッション」(41%)など実際の商品を扱ったり、実店舗で利用するようなサービスが40%台の認知となりました。一方、「美容/コスメ」(24%)、「乳幼児/子供用グッズ」(22%)などは2割強の認知にとどまり、他のジャンルに比べると、まだ世の中には広く浸透していない様子がうかがえます。
世代別では、ほとんどのジャンルで若い世代ほど認知率が高い傾向でしたが、唯一、「自動車」ではシニア層の認知が最も高い結果となりました。
性別では、「自動車」や「ゲーム」は男性のほうが認知率が高く、「ファッション」、「美容/コスメ」、「食材/飲食」、「乳幼児/子供用」などでは女性のほうが認知率が高い傾向が見られました。

 

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

 

 サブスクリプションサービスの利用経験について

半数がサブスクリプションサービスの利用経験あり。若年層ほど利用経験率は高い。

次にサブスクリプションサービスの利用経験についてはどうでしょうか。今までにいずれかのジャンルのサブスクリプションサービスを現在、もしくは過去に利用したことがある人は51%で過半数となりました。利用経験率も若い世代ほど高く、若年層の利用経験率はシニア層に比べると2倍の開きがありました。サブスクリプションサービス利用のハードルは、若年層ほど低いと言えそうです。

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

 

「動画配信」の利用経験率は40%と突出した高さ、デジタルコンテンツ系が若年層に人気。

サブスクリプションサービスのジャンルごとにみると、「動画配信」が40%で最も利用経験者が多いジャンルでした。「音楽配信」が23%、「電子書籍/コミック」が13%と続きますが、「動画配信」の利用経験率の高さが際立っています。
世代別では、若年層の利用経験率は、いずれのジャンルでも他の年代を上回っていますが、特に「動画配信」(全体+17%)、「音楽配信」(全体+17%)、「電子書籍/コミック」(全体+5%)、「ゲーム」(全体+8%)といったデジタルコンテンツ系のジャンルの利用経験率が他の年代に比べて高く、若者を中心に支持されているサービスと言えそうです。

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

 

「スポーツ/エクササイズ」、「教育/学習」、「食材/飲食」、「美容/コスメ」、今後の利用者増に期待。

各ジャンルの認知者に絞ってみると、興味深い特徴が見られます。「スポーツ/エクササイズ」、「教育/学習」、「食材/飲食」、「美容/コスメ」などのジャンルを利用したことがある人は、全体ではそれぞれ3~7%と1割に満たないものの、これらのサービスの認知者だけで見ると、どれも利用経験は10%台となって利用経験率は2~3倍程度上がります。これらのジャンルは、認知者の増加に伴って、サービス利用者の増加も期待できそうなサービスと位置付けられそうです。

 サブスクリプションサービスの現在の利用状況について

現在サブスクを利用している人は約4割、現在利用中のジャンルとして最も多いのは「動画配信」。

現在サブスクリプションサービスを利用している人は全体の43%でした。ジャンル別では、やはり「動画配信」(33%)が最も高く、次に「音楽配信」(16%)が続きます。その他のジャンルについては、現在の利用が1割に満たない結果となりました。

全ジャンルで利用継続率は3割以上、一度使用し始めると利用し続けられる傾向

一方、利用継続率*を見ると様子が異なります。利用経験があり、なおかつ現在も利用中である、という人が最も多いのは「動画配信」の82%でした。次いで、「音楽配信」が69%、「自動車」が58%で半数を超えています。「電子書籍」、「ゲーム」、「美容/コスメ」、「乳幼児/子供用グッズ」、「食材/飲食」、「スポーツ/エクササイズ」はいずれも40%台、「教育/学習」、「家具/家電/インテリア」、「ファッション/アパレル」でも30%台になります。
サブスクリプションサービスは、動画配信や音楽配信といった一部のジャンルを除き、利用者数はまだ決して多くはありません。しかし、12ジャンル全てにおいて利用継続率が3割以上となっていることから、一度利用し始めると継続して利用されやすいサービスと位置付けられそうです。
*各ジャンルの利用経験者のうち、現在も利用している人の割合を指す。

 現在利用中のサブスクリプションサービスの利用期間について

デジタルコンテンツ系は「2年以上」の長期利用が多く、モノを扱うサービスは「3カ月以内」の短期利用が多数派。

各サブスクリプションサービスを利用した人の利用期間について聴取しました。
「動画配信」、「音楽配信」、「電子書籍/コミック」、「ゲーム」は“2年以上“の利用者がそれぞれ40~60%台と、“3カ月以内“の短期の利用者の割合を上回っていました。オンライン系サービスは一度利用すると長期にわたり継続利用する傾向があるようです。
また、オンラインとオフラインの両方でサービスが提供されている「教育/学習」や「スポーツ/エクササイズ」についても、“2年以上“の割合は40%台で“3カ月以内“ を大きく上回っており、オンラインサービスと同様に利用期間が長めであることがわかりました。
一方、モノを購入・所有せずに利用する、モノの取り扱いを中心とした「家具/家電/インテリア」、「ファッション/アパレル」、「乳幼児/子供用グッズ」は、“3カ月以内“の利用者が40%台を占めています。これらのジャンルは、一時的に利用が必要になった人や購入前に試したいというニーズに対応した短期間向けのサービスが充実している傾向も見られ、住環境やライフスタイル、季節やトレンドの変化などに合わせて、一定期間だけ利用する人が比較的多いサービスと言えるのかもしれません。

 現在利用中のサブスクリプションサービスの利用金額について

デジタルコンテンツは「1,000円未満」が半数以上、「教育」「美容」「食材」は「5,000円以上」の利用者も多い。

 

現在利用しているサブスクリプションサービスの月々の支払金額について尋ねました。
「1,000円未満」が半数を超えているのは、「電子書籍/コミック」(66%)、「音楽配信」(52%)、 「動画配信」、「ゲーム」(共に52%)などのオンラインサービスで、「1,000~3,000円未満」の割合を加えると、月額3,000円未満の利用者が8割以上を占めました。一方、「教育/学習」、「美容/コスメ」、「食材/飲食」は、月額3,000円未満の利用者が30~40%台、且つ 5,000円以上の利用者も30%台となっており、利用価格帯は分散しています。取り扱うコンテンツや商材によって金額が異なるプランがいくつか提供されていることもあり、支払い金額が分かれる結果となったようです。
また、「食材/飲食」は10,000円以上の高額利用者が約2割を占め、他のジャンルよりお金をかけている傾向がみられました。「スポーツ/エクササイズ」も、5,000円以上が6割弱と比較的高額の利用者が多いジャンルとなっています。

まとめ

 

サブスクリプションサービスが社会的に知られるようになって数年が経ち、本調査でも、若い世代を中心にサービスの認知率の高さがうかがえました。動画配信、音楽配信、自動車のサービス等、各サービスの利用経験者の継続率が高いことも明らかとなっており、サブスクリプションサービスが消費者の間で以前よりも更に浸透していることがわかります。
一言でサブスクリプションサービスといっても、デジタルコンテンツ系や、オンライン・実店舗両方での利用、モノを取り扱うサービス等、ジャンルも多岐にわたります。そして、各サービスにおいて、認知率や利用状況は、世代などによって特徴がみられました。例えば、デジタルコンテンツ系は若年層を中心に知られ利用されています。一方で、スポーツや教育に関するジャンルのように、認知自体はまだ低くても一度認知されると利用につながりやすいサービスもありました。今後サブスクリプションサービスの普及が進めば、利用者の拡大が見込まれるでしょう。そのためには、サブスクリプションサービスに感度の高い若者や各ジャンルのターゲット層の利用促進に向け、利用し始めやすいと感じてもらえるようなプランの設定や、サブスクリプションサービスに対してまだ抵抗のある高年齢層にメリットや安心感を与えられるような働きかけが有効と言えるでしょう。
消費者にとっては、定額で、豊富なラインナップを気軽に楽しんだり、自分とは違う目線でセレクトされた商品を楽しんだり、モノを増やさずに必要な時だけ利用できたりといった、様々なメリットがあり、上手に使えば、魅力的なサービスと言えるでしょう。

 

<アンケート調査:サブスクリプションサービスに関する実態>調査概要
 ■調査方法:インターネット調査  ■調査期間:2023年8月 ■対象者:20~69歳の計4,000名

 

※本リリース内容の転載にあたりましては、出典として「J.D. パワー調べ」という表記をお使い頂けますようお願い申し上げます。

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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。